05
2017

そこで私が見たものは・・・!?

トガジンです。

去る5月1日(月曜日)。
この日は予定されていた仕事が急遽中止になってしまいました。
急に余った時間をどうしてくれようかと考えた結果、先ごろお隣の石川県小松市にオープンしたばかりの「イオンモール新小松」に行ってみることにしました。
隣の県といっても、私の家から車で1時間もかからない距離です。
よほど急ぎの用事でもない限り、高速道路に乗る必要もありません。

イオンモール新小松
想像以上に大きな施設で、その中には150以上のブランド店が軒を連ねており、ここが北陸地方の田園地帯のど真ん中であることを忘れてしまうほどです。
広大な駐車場には石川ナンバーと同じくらい福井ナンバーも多く、福井の買い物客が大量にこちらに流れていることが窺えます。

イオンシネマ新小松
もっとも、私はブランド・ショップなんぞに興味はありません。
私の目当てはもちろんイオンシネマ。
大阪や京都の大型シネコンに比べれば小規模でIMAXもULTIRAも4DXもありませんが、これまでのように金沢市内にまで足を運ぶことなくイオンシネマが選択肢に加わったことはありがたいです。

この日はゴールデン・ウィーク中とはいえ暦の上では平日です。
映画館もそこまで混んではいないだろうとタカをくくっていたのですが・・・甘かったです。
この日はファースト・デー兼メンズ・デーで料金一律1.100円ということもあってか、大勢の家族連れで賑わっていました。
特に子供連れの親子の姿が目立っていましたが、おそらく『クレヨンしんちゃん』や『名探偵コナン』の新作映画がお目当てでしょう。

前置きが長くなりましたが、私が此処で何を観たかというと・・・。


『ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険』🈠
(劇場:イオンシネマ新小松)
ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険 ポスター
笑わないでください・・・ていうか嘲笑わないで!。
どうしても観たかったんですよ、これ。

『ドラえもん』のキャラクター・設定フォーマットに乗っとってジュブナイルに変換されてはいますが、ストーリーの基本設定は1936年に発表されたハワード・フィリップス・ラヴクラフトの古典SF『狂気の山脈にて』を下敷きにしているのです。

ラヴクラフト イメージ
狂気の山脈にて
1930年、南極大陸の地質調査に向かったチームの一つが「不思議な生物と謎の山脈を発見した」という報告を最後に連絡を絶った。
捜索に向かった調査隊責任者である”私”は、まるで解剖でもされたかのような彼らの無残な死体と未知の生物の標本を発見する。
さらに飛行機で奥地へ進むと、そこにはヒマラヤ以上の高さの山脈がそびえていてさらに古代文明の遺跡が存在した。
その壁画を読み解いたところ、彼らは動物と植物両方の生態を備えた知的生命体であり地球の旧支配者であることが分かった。
そこに「テケリ・リ!テケリ・リ!」と奇怪な声を上げながら旧支配者たちが創造した不定形生物ショゴスが襲いかかってくる。

パシフィック・リム
ギレルモ監督とバルタン星人
あの『パシフィック・リム』や『パンズ・ラビリンス』のギレルモ・デル・トロ監督が完全映画化を熱望しながらも果たせずにいたSFホラーの原点です。
その頓挫の原因というのが、「この原作をラブ・ストーリーにしてハッピーエンドにしろ」という制作会社の馬鹿な要望にギレルモ監督が怒ってしまったからだそうです。
確かに、興行のために観客の嗜好や出資者に媚びるばかりの今のハリウッドでこの原作を完全映画化することは難しいかも知れません。

ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険 狂気の山脈にて 田辺剛ビジュアル
ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険 狂気の山脈にて 田辺ビジュアル
<田辺剛氏によるコミカライズ版より>

なにしろ、ビジュアルイメージがこんな感じの作品なのです。
これをどうやって『ドラえもん』に落とし込み、ジュブナイル化しようというのか?
そこにとても興味がありました。

ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険 イメージポスター
<あらすじ>
暑さに耐えかねたのび太たちが向かったのは、南太平洋に浮かぶ巨大な氷山。
ドラえもんのひみつ道具で遊園地を作っていたのび太たちは、氷漬けになっている不思議なリングを見つける。
調べてみたところ、このリングが埋まったのはなんと人が住んでいるはずもない10万年も前の南極だった。
リングの持ち主を探して南極へと向かうドラえもんたちだったが、その前に氷の下に閉ざされた巨大な都市遺跡が姿を現す。
「10万年前に行って、落とし物を届けよう!」
ひみつ道具「タイムベルト」で10万年前に向かうドラえもんたち。
そこで、凍りついてしまった自分たちの星を救うためにリングの謎を追う少女カーラとヒャッコイ博士に出会う。

ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険 5人
ラヴクラフトの小説のストーリーをそのままドラえもんを使って描くのではなく、『狂気の山脈にて』で1930年に発見されたことになっている南極大陸の遺跡に2017年のドラえもんたちが迷い込んでしまうという、いわゆるアナザー・ストーリーになっていました。
10万年前にカーラとヒャッコイ博士が目を付けたのが『狂気の山脈にて』における”地球の旧支配者たち”の技術ということになっていて、そこにタイムマシンでドラえもんたちが絡んでいきます。
タコのような怪物はもちろん、ショゴスも宮崎アニメの巨神兵やデイダラボッチのような姿になってシン・ゴジラみたいに冷凍光線を吐く怪物として登場します。
『狂気の山脈にて』の設定を『ドラえもん』らしい別の視点から分解・再構築した実に良く出来たストーリーです。


ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険 立体感
もう一つこの作品で感心したのはその画作りです。
3D作品ではないにもかかわらず「立体感」を感じられるレイアウトを多用していて、片目を閉じて観ていると手前にせり出して見えたり奥行き感を感じたりする場面が多々ありました。
↑の場面も、片目を閉じて観ていると、ソリを惹く犬代わりのロープが画面手間に迫って見えるようです。
もちろん「目の錯覚」にすぎないのですが、脳が距離感を感じ取るほどしっかりしたレイアウトとデッサン力が必要なはずです。


ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険 パオパオ
『ドラえもん』の劇場版はレンタルで全作品観ていますが、この作品は藤子・F・不二雄先生がご存命の頃の作品『のび太の海底鬼岩城』や『のび太の魔界大冒険』などに比肩するほどの傑作だったと思います。
アニメキャラクターに感情移入している子供たちが「こんな世界に迷い込んで帰れなくなったらどうしよう?」と身をすくませ、ドラえもんやのび太たちの機転と友情パワーでそれを突破する姿に声をあげて歓喜していました。
元ネタの『狂気の山脈にて』を知らない人が観ると若干説明不足に思える部分もありますが、子供たちにしてみれば「何だかよく分からないけど何だかすごく面白かった(怖かった)」印象が強く残ったのではないでしょうか?。
近くの席の小さな女の子が、映画の途中からずっと父親の腕にしがみつきながら見ていた姿が印象的でした。

全く意思疎通が出来ない謎の生き物たちに囲まれたお馴染みのキャラクターの絶体絶命の大ピンチに、『ドラえもん』らしからぬやたら重厚な音楽。
幼年期にこういった作品に接してしまうと、その子の感受性次第ではその後ずっと「あれは何だったんだろう?」と考え続けてしまうことになるかも知れません。
これを観た子供たちの心に突き刺さる小さなトゲのような作品で、ここからさらにたくさんの優れた作品に触れていけるようになって欲しいものです。
46年前の私にとって『ゴジラ対へドラ』がそうであったように・・・。


それにしても、この歳で『ドラえもん』を一人で観に行くというのは大変です(笑)。
以前「大人だけのドラえもん」という上映企画があったと記憶していますが、ああいうのをまたやってくれませんかねえ。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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Tag:のび太の南極カチコチ大冒険 ラヴクラフト 狂気の山脈にて

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