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2017

週刊映画鑑賞記(2017.3/13~2017.3/19)

トガジンです。

毎週日曜の夜は、この一週間に観た映画の感想をまとめて書き連ねています。
そろそろ春からの番組改編に向けて仕事が忙しくなってきました。

3/13(月)
『マジンガーZ対暗黒大将軍』
(ホームシアター:Blu-ray)
マジンガーZ対暗黒大将軍
『ゴジラ対メカゴジラ』のレビューで触れたこの作品。
画面写真をキャプチャーするだけのつもりがついつい全編観てしまいました。

マジンガーZ対暗黒大将軍 なかなか・・・マジンガーZ対暗黒大将軍 これには勝てる
現在大人になってこの作品を観ていると、オープニングのバックに流れる当時の子供たちが描いた絵が可愛くて可愛くて仕方がありません。
描いたのはたぶん私と同年代の人たちでしょう。
この映画の一部になることが出来た彼らのことが本当に羨ましいと思います。

マジンガーZ対暗黒大将軍 たいへんよくできましたマジンガーZ対暗黒大将軍 女の子の絵も
昔は「どうしてもっとロボットアニメらしい勇壮なオープニングにしなかったんだろう?」と不思議に思ったものでした。
しかし、この映画を観返すたびに『マジンガーZ』に夢中になった小学生時代の気持ちに即座に立ち返ることが出来るのは、実はあの絵のおかげではないかと思えてきます。
他の世代の人たちの目にはどう映るか分かりませんが、かつてリアルタイムで『マジンガーZ』に夢中になった私たちにとっては「永遠の名作」なのです。


3/14(火)
終日仕事の為、映画鑑賞無し


3/15(水)
『ゴジラ(昭和59年)』
(ホームシアター:WOWOW録画)
1984 ゴジラ
順番から言えば『メカゴジラの逆襲』を観るべきところですが、ちょっと思うところがあってこちらを先に見てしまいました。

先日『ゴジラ対メカゴジラ』について書いたとき、キングシーサーを呼び醒ます「ミヤラビの歌」のシーンが完全に無駄であることからこれを編集でカットしてしまうことを考えました。
これが私的にマイブームになっていまして、「他にもなにか編集で遊べるものはないか」と考えたところ・・・。
あった、ありました!。
この84年版『ゴジラ』です。

84年版『ゴジラ』は、第2作『ゴジラの逆襲』から『メカゴジラの逆襲』までのシリーズ作品14本を「無かったこと」にして、昭和29年の『ゴジラ』の直接の続編として強制的に原点回帰を図った作品でした。
昨年公開された『シン・ゴジラ』がリスペクトしていたのは、昭和29年版ではなく実はこの59年版だったんじゃないか?と思えるほど政治色の濃い硬派な作品です。
中途半端に人間の味方として敵怪獣や異星人と戦うゴジラではなく、あくまで初代と同様に人間社会に害を成す畏怖すべき存在として再スタートを切りました。
その志はとても気高いものだったと思うのですが、いかんせんビッグバジェットということで余計な連中の「いっちょカミ」が横行して作品を台無しにしてしまいました。

コラ鉄矢、なんばしちょっとか
特に鬱陶しいのがコイツです。
「でっかい図体して歩いてんじゃねえ!この田舎もんが!」
ひとコマも残さずカットしてやりたいところですが、さすがにそれは難しかったです。

他にも設定上おかしいところとか特撮がチャチいところを可能な限りカットしまくって遊んでいます。
『ゴジラ』(昭和59年版)のレビュー本記は、当初準備していた内容から大幅に書き直しているところです。


3/16(木)
『バタフライ・エフェクト3/最後の選択』🈠
(ホームシアター:レンタルDVD)
バタフライ・エフェクト3 最後の選択
『アバウト・タイム 愛おしい時間について』をはじめとした、最近流行り(?)のタイムリープものです。
(もっとも制作はこのシリーズのほうが何年も先です)
第一作『バタフライ・エフェクト』が面白かったので3作目にあたるこの作品を借りてみました。
『2』は駄作だという情報があったのでスルーしましたが、各編独立したストーリーでつながりは無いので問題ありません。

タイプリープ能力を利用して過去に戻り殺人事件の捜査に協力していた主人公は、過去の自分の恋人が惨殺された事件の真相を探ろうとします。
ところが、過去を探り救おうとするほど犠牲者が増えるばかりで、揚げ句の果てには自分がその犯人だと疑われてしまいます。

巧みな脚本でとても面白かったのですが、伏線が丁寧すぎて誰が真犯人なのか中盤で読めてしまったことと最後のケリの付け方が一作目とほとんど同じ方法だったのが残念なところではありました。


3/17(金)
『宇宙戦艦ヤマト2202 第一章/嚆矢篇』🈠
(配信:Amazonビデオ)
宇宙戦艦ヤマト2202第一章
初のAmazonビデオ購入作品です。
わずか50分、テレビアニメ26話中の2話分に2'500円も払ってしまいました。
前作『宇宙戦艦ヤマト2199』の出来が良かったことで期待が高まっていたわけですが・・・。

実に残念です。
人物描写が希薄で、旧作の焼き直し以上のことが何も出来ていない脚本です。
かつて無理矢理シリーズを延長して愚作を連発し、ファンの失笑を買い続けた旧シリーズ後期の悪夢が蘇りそうです。
往年の『ヤマト』ファンとしては今後の巻き返しに期待するのみです。


3/18(土)
『メカゴジラの逆襲』
(ホームシアター:WOWOW録画)
1975 メカゴジラの逆襲
『ゴジラ』シリーズ15作目にして昭和シリーズの区切りとなる作品です。

実は、私はこの映画を公開当時には観ていません。
初めて観たのは大学生の時で、特撮映画を何本か集めた何かの上映会でした。
「東宝チャンピオンまつり」の一篇でありながら、この作品を子供の視点で楽しむ機会を得られなかったのは残念です。

『メカゴジラの逆襲』は、内容について考察するよりも俳優さんたちの姿に目がいく作品です。
久し振りの本多猪四郎監督作品ということもあってか、過去の『ゴジラ』シリーズや東宝特撮映画を支えた主役級の俳優さんが多数出演しています。
さらに脇役の方たちの中にも懐かしい顔を大勢見つけることが出来て、違った意味でゴジラシリーズの終焉を感じさせる映画です。

『メカゴジラの逆襲』のレビュー本記は近日アップする予定です。

3/19(日)
終日仕事の為、映画鑑賞無し


さて、来週はいよいよ『シン・ゴジラ』のブルーレイが発売になります。
以前にも書きましたが、メイキングやカットされたシーンが収録されるという特典が楽しみです。
本日もお付き合いいただきありがとうございました。
17
2017

『宇宙戦艦ヤマト2202-愛の戦士たち- 第一章』と初Amazonビデオ購入

トガジンです。
今日、アマゾン・ビデオで初めて動画を購入しました。
一本2,500円なんて、これはもうIMAX並みのお値段です。

『『宇宙戦艦ヤマト2202-愛の戦士たち- 第一章(嚆矢篇)』🈠
(ホームシアター:AAmazonビデオ配信)
宇宙戦艦ヤマト2202第一章

先週京都へ先行劇場公開版を観に行く予定だったこの作品ですが、確定申告の準備で時間が取れなかったうえに仕事の予定が二転三転したこともあって結局行けずじまいになってしまいました。
来週末にはレンタルDVDがリリースされることになっていますが、どうせ見るならハイビジョン画質を大画面で楽しみたいものです。

【Amazonビデオ初購入】
アマゾンビデオ
そこで、今回初めてAmazonビデオ配信の動画購入をしてみました。
Amazonは元々プライム会員に加入していて見放題サービスはよく利用していましたが動画を購入をするのは初めてです。

購入前
2'700円と表示されていますが、実際購入すると200円値引きされていました。
たぶん何かのクーポンが適用されたものと思われます。

購入後
購入手順は思った以上にシンプルであっと言う間に決済されてしまいました。
あれではうっかり間違って購入してしまう可能性もなきにあらずで、もう一段階くらい確認画面があってもよかったのではないかと思います。

【画質】
私はプレイステーション3を通して視聴しましたが、再生画質そのものについては大きな不満はありません。
しかし、開始から数十秒は必ず低画質で始まり徐々に高画質へ変化していくのはいただけません。
ちなみにこれはNETFLIXやHULUでも同様の仕様になっていて、映像ネット配信の安全策ということみたいです。
しかし、こちらとしては最初からHD視聴環境が整っているわけですから、冒頭から一定の高画質で楽しませてもらいたいものです。

もう一点気になることは、このビデオファイルが24pなのかどうかが判別出来ないでいることです。
私は以前このブログで述べたように、映画はオリジナル通りの動きやタイミングを再現するという意味合いからも1080/24pで再生することに強いこだわりを持っています。
プレイステーション3はいかなる24pのビデオファイルも1080/60p(i)で出力してしまう仕様のため、今回は仕方なくプロジェクター側のi/p変換機能を使って強制的に24p再生しました。
Amazonは仕様書の1080/24pか1080/60pかを明記していただきたいものです。


以下、ネタバレが含まれます。
レンタル解禁を楽しみにされている方は、閲覧をお控えください。


【愛が必要だ】
「無限に広がる大宇宙、静寂な光に満ちた世界・・・」
『ヤマト』シリーズの定番とも言えるこのオープニングナレーションは、前作である『宇宙戦艦ヤマト2199』には存在しませんでした。
それは旧テレビ版第一作に準じたものであり、このナレーションは1977年公開の劇場版『宇宙戦艦ヤマト』で初めて使われ始めたものだからです。
それが今回復活したわけですが、それを語っていたのがなんと・・・!?、というオープニングでした。

それから約50分。
観終わっての感想はというと・・・。

わざわざ京都まで観に行かなくて本当に良かったと思いました。。
画質にはこだわる人間なのでHDビデオファイルを購入したことは後悔していませんが、今回の作品の内容については不満しかありません。

宇宙戦艦ヤマト2202第一章 古代進
制作者が旧作『さらば宇宙戦艦ヤマト-愛の戦士たち-』のリメイクにばかり固執している感があり、前作『2199』において確立したはずのキャラクターの解釈が旧作のそれに先祖返りしてしまっています。
主人公の古代進がいい例で、『2199』の終盤や『星巡る方舟』で見せた理性的な青年士官という印象は、旧作のような直情型で自己陶酔しがちな子供っぽい人格に退化してしまっていました。

宇宙戦艦ヤマト2202第一章 森雪と桐生
監督が出渕裕氏から羽原信義氏に交代したためだとは思いますが、前作『2199』で初登場した新キャラクターたちの殆どが活躍もセリフも無く、ただ申し訳程度に画面に映っているだけだったのも残念でした。
『2199』からの新キャラクターでセリフがあったのは山本玲と桐生美影の二人だけでしたが、自分が育てたキャラクターではないために愛着を持てないでいるのかも知れません。

宇宙戦艦ヤマト2202第一章 連合艦隊
現時点で判っている旧作との違いは、ガミラスが友好国となってガトランティスに対して共同戦線を張っている状態にあることと、波動砲を大量破壊兵器と捉えて地球政府にも反対派と推進派が存在していることです。

ただ、ガミラスを敬意を払うべき「友軍」と呼ぶわりにはその描写はあまりにも片手落ちです。
冒頭の艦隊共同作戦において、ガミラス兵士の姿も指揮官の姿すらも一切登場しません。
地球とガミラスの共同作戦と言いながら、制作者の興味は主人公側にしかないことが分かります。
地球艦隊の描写を見ても艦の乗組員が描かれていたのは古代進の乗艦だけで、他の艦艇の乗組員の姿は一切描かれていません。
まるで『ヤマトよ永遠に』に出てきた無人艦隊のようで不気味ですらあります。

宇宙戦艦ヤマト2202第一章 アンドロメダ
物語の序盤を見せるだけとはいえ、総尺50分は短すぎでした。
今回たったこれだけで6月末まで次に引っ張ろうというのは少々無理があると思います。
せめてヤマト発進までは一気に見せてくれないと、3ヶ月以上も興味を持続することは困難です。

ひとりよがりな福井晴敏脚本も羽原信義監督の凡庸な演出も非常に残念です。
このままではせっかく前作でリファインしたSF設定や新登場のキャラクターも活かされることなく、『2199』の続編というよりただの蛇足で終わってしまいそうな予感がします。

【だから、愛が必要だ】
今後は旧『さらば〜』のストーリー展開に加えて、ディッツ父娘のいるガミラス新政権や『星巡る方舟』のバーガーなども絡んでくるものと思われます。
コスモリバースの依り代となっているはずのヤマトが地球を離れるとマズいのではないかという懸念もあります。
また、波動砲封印の約束を反故にしということでイスカンダルのスターシア再登場も考えられます。
この先何が起こるかまだまだ分かりません。
全26話中の冒頭2話分(50分)を見ただけで『2202』の全てが駄作だと断定したくはありません。

今回は失望と不安ばかりが先立ちましたが、長年ヤマトファンをやっているとこの程度のガッカリはまだまだマシな方です。
『完結編』の佐渡先生の誤診とか、キムタクの古代進とか、『復活編』の存在そのものとか(笑)。
『宇宙戦艦ヤマト2202』も最終回までは付き合うつもりでいますので、最終的には満足させてもらえることを期待しております。


本日もお付き合いいただきありがとうございました。

Tag:宇宙戦艦ヤマト2202-愛の戦士たち- amazonビデオ

14
2017

『ゴジラ対メカゴジラ』

CATEGORY『ゴジラ』
トガジンです。

ゴジラシリーズ14作目です。
これまでに書いたゴジラレビューを読み返してみると、最近のものはレビューと称しながらもほとんど「自分史」になっている気がします。

でもいいんです。
私の人生の節目節目にその時代ごとのゴジラ作品があったことは間違いないのですから。

ゴジラ対メカゴジラ
1974 ゴジラ対メカゴジラ

<あらすじ>
沖縄海洋博の工事現場から、終末の予言が書かれた壁画と守護獣キングシーサーにまつわる置物が発掘された。
時同じくしてゴジラが出現し暴れ始めるがどこか様子がおかしい。
そこへもう一匹のゴジラが現われ、最初に現れた個体は異星人が地球最強の生物ゴジラを模して造ったロボットだと分かった。
敵の基地が沖縄にあると知ったゴジラは、メカゴジラと決着を着けるべく再び戦いを挑む。
さらに沖縄の守護獣キングシーサーも覚醒し、三つ巴の戦いが始まった。

【その名はメカメカメカゴジラ♪】
いつも映画に連れて行ってくれる祖母が「●●ちゃん、またゴジラの新しいのやってるよ。今度観に行こうか。」と言ってくれたのは、小学四年生になった昭和49年の春休みのことでした。
この頃の私は両親からも「いい加減にマンガや怪獣なんか卒業しなさい!」と散々言われていた頃であり、特撮に対してもやや醒めた見方をしていた時期でした。

対メカゴジラ 新聞広告
それでも、当時9歳と10ヶ月だった男の子にとって「メカゴジラ」というネーミングには何かとてつもなく惹きつけられるものがありました。
更に新聞広告に描かれていた全身金属のロボット怪獣の姿からはそれまでにないビジュアル・インパクトを感じたものです。
「うわ、これ観たい!」とストレートに反応したことを今でもよく憶えています。

対メカゴジラ 偽ゴジラの正体対メカゴジラ ゴジラ
当時の私はテレビの特撮番組に色々と失望感を抱いていたのですが、『ゴジラ対メカゴジラ』はそんなモヤモヤを軽く吹き飛ばしてくれました!。
まさに血沸き肉踊る総天然色特撮怪獣活動大写真でした。

対メカゴジラ メカゴジラビーム対メカゴジラ メカゴジラミサイル
対メカゴジラ メカゴジラ翔ぶ対メカゴジラ メカゴジラバリア
とにかく敵であるはずのメカゴジラがカッコ良かった!。
眼光ビームやフィンガーミサイル、首を180度回転させての全方位攻撃、、さらには飛行能力にバリアまで。
メカゴジラには当時の小学4年生男子の大好物が全て備わっていたのです。

佐藤勝さんの音楽も、しばらくは耳に残って離れませんでした。
ゴジラが登場するときは伊福部音楽に似た重厚なテーマですが、メカゴジラが登場するとリズミカルなジャズに変化してテンポアップしていきます。
まるで佐藤勝さんが伊福部昭さんへの対抗心を露わにしたかのような力強い楽曲です。


本作品から中野昭慶さんが正式に特技監督として腕をふるっています。
シネマスコープの広い画面を活かした中野監督らしい大胆な構図と、派手な爆発や鮮やかな光学合成によって劇場用映画にふさわしいゴージャスな特撮場面が展開します。

対メカゴジラ シネスコ!!
特に、メカゴジラが前方のゴジラと後方のキングシーサーに対して一斉攻撃するこの場面のカッコ良さといったら!。
『日本沈没』の大ヒットに気を良くした東宝が『ゴジラ20周年記念作品』の予算をアップしてくれたのかと思っていましたが、実際のところは『ゴジラ対へドラ』と大差ない製作費だったそうです。
本編パートの撮影をサンフラワー号とのタイアップなどで費用を浮かせることで、特撮に予算投入する環境を生み出していたのかも知れません。

対メカゴジラ ゴジラ「チッ」
ちなみに、この時は3歳年下の妹も一緒に観に行っていました。
妹にとってはこの「東宝チャンピオンまつり」が映画館デビューだったのですが、彼女は『ゴジラ対メカゴジラ』のことは全然覚えていなくて同時上映の『ハロー!フィンガー5』しか記憶になかったそうです(笑)。

【脚本】
SFマガジンの編集長だった福島正実氏とゴジラシリーズの脚本家である関沢新一氏による原作を、福田純監督と脚本家の山浦弘靖氏の連名でシナリオ化したもののようです。
山浦氏は特撮番組やアニメだけでなく刑事ドラマも数多く書いている脚本家ですから、伏線の散りばめ方やその活かし方、無理のない場面移動などストーリーテリングが巧みです。

SFのプロによる考証と本職の脚本家によるシナリオを得たことで、福田純監督本来の持ち味であるテンポの良い演出も活かされて痛快な娯楽活劇に仕上がっていると思います。
やはり、「1:スジ、2:ヌケ、3:ウゴキ」ということで、面白い映画に一番大事なのは脚本の出来なのです。

【沖縄=インファント島?】
対メカゴジラ 爺さん
「ゴジラよ!あずみ王族を亡ぼそうとしたヤマトンチュをわしに代わってやっつけろ!!」

沖縄県が日本に返還されてからすでに2年。
さらに翌年には沖縄海洋博の開催を控えていた昭和49年。
そんな時期の沖縄を舞台とした映画(それも怪獣もの)に、このような琉球人の恨み節を盛り込むとは・・・いやはやなんとも大変な反骨精神だと思います。

この老人の言う大和民族の攻撃とは、1609年の薩摩による琉球侵攻のことを指していると思われます。
近代においても、沖縄は太平洋戦争末期に本土の防波堤代わりにされたうえに、戦後はまるでアメリカに対するスケープゴートのような屈辱的扱いを受けてきました。

モスゴジ インファント島
この映画における沖縄の立ち位置は、『モスラ対ゴジラ』におけるインファント島の状況と似ているように思います。
インファント島は核実験の影響を受けてその大部分を死の土地にされてしまった島で、住民たちはわずかに残った清浄な場所で細々と暮らさねばなりませんでした。
そのくせ図々しくもモスラの助力を求めに来た日本人たちに対して島民たちは激しく責め立てます。

モスゴジ インファント島酋長
「我々、この島以外の人間信じない。信じたばかりに今まで背かれてばかりきた。」
このセリフは、海を隔てた大和の国に辛酸を舐めさせられてきた沖縄(琉球)にもそのまま当てはまります。

もしも、この『ゴジラ対メカゴジラ』の脚本家が山浦弘靖さんでなく沖縄出身の上原正三さんだったとしたら、一体どれほど怨念渦巻くダークな作品になったことでしょうか?。
「ゴジラは太平洋戦争の英霊である」という説がありますが、それこそ「キングシーサーには薩摩侵攻や沖縄戦の犠牲者の怨念が乗り移っている」といったお話になっていたかも知れません。

しかし残念ながら、こうした尖った沖縄描写はこの場面のみで終わってしまいました。
終盤のストーリーはブラックホール第三惑星人の陰謀をメインに進行するため、琉球民族の想いはうやむやにされてしまいます。
この映画の舞台が沖縄である必要すら無くなって、キングシーサーの存在感も無きに等しくなっていました。

対メカゴジラ キング・シーサー
非常にもったいない素材だったと思います。
沖縄返還と海洋博開催に浮かれて、日本人全体が沖縄の苦難を有耶無耶にしてしまったあの時期にこそ、上原正三脚本で、ゴジラ(本土)対キングシーサー(沖縄)の映画を単独で作るべきでした。

【覚醒の儀式】

対メカゴジラ フルコーラス
「ミヤラビの祈り」
♪ 暗い夜の とばりが消える
  朝が来たら ねむりから さめてほしいの
      (中略)
  私のむねで まっている まっている
  シーサー シーサー シーサー
  キング シーサー

この歌は、沖縄の守護怪獣キングシーサーを目覚めさせる歌のはずなのですが琉球民謡らしさが微塵も感じられません。
琉球音楽の特徴というのは、「ドレミファソラシド」のうち「レ」と「ラ」を抜いて「ドミファソシド」で奏でられるものですが、この歌にはそういう特徴は全くありません。
むしろ日本の演歌そのものです。

これまでも東宝特撮では、伝説の怪獣に対しては必ず歌や踊りを捧げてきたものでした。
儀式 ゴジラ神楽
大戸島住民による呉爾羅を鎮めるための神楽。

南海の大決闘モスラ踊り
守護神モスラに捧げられるインファント島の踊りと小美人の歌。

儀式 キンゴジ
ファロ島でキングコングを眠らせた島民の情熱的な踊り。

対メガロ 東宝特撮の伝統行事
ついでに、メガロを目覚めさせたシートピア海底王国も。
いずれも東宝特撮の伝統行事と言っても良いでしょう。

対メカゴジラ 儀式
「ミヤラビの祈り」もその伝統に則っているのでしょうが、それにしてもこの場違いな曲をフルコーラスで2番まで歌いきるのはタイアップ丸出しで興醒めです。
しかも、この約3分間はストーリーの進行が完全にストップしてしまうため、テンポの良いこの映画にとっては単なるブレーキになってしまっています。

【出演者】
対メカゴジラ 清水兄弟
画面手前=清水敬介(演:大門正明)
特撮映画よりは刑事ドラマに出てきそうな屈強な実戦タイプの主人公です。
実際に置物を狙う敵の工作員と二度にわたって格闘を演じていますが、とても一介の土建屋さんには見えません。

画面奥=清水正彦(演:青山一也)
どちらかというと弟の方が特撮作品の主人公向きの顔とスタイルです。
それもそのはず、演じている青山一也さんはゴジラも出ていたあの『流星人間ゾーン』でゾーンファイターだった人です。
もっとも、当時は『ゾーン』終了から半年ほど経っていたため全く気付きませんでしたが・・・。

対メカゴジラ 似てない?
余談ですが、この数か月後の『太陽にほえろ!』に登場するテキサス刑事(勝野洋)の「角刈りに茶色の上下ジーンズ」といういでたちを見た時に、私はこの清水兄の恰好を連想していました。
この男性ファッションは当時の流行だったのでしょうか?。

対メカゴジラ 岸田森
南原捜査官(演:岸田森)
この映画において最も頼りになる人物として描かれていますが、味方と分かるまでは怪しさ全開で不気味なことこのうえないです(笑)。

対メカゴジラ 坂田
岸田森さんといえば『怪奇大作戦』の牧史郎役が有名ですが、私にとってはなんといっても『帰ってきたウルトラマン』の坂田健です。
時に優しく時に厳しく、兄のように郷秀樹(ウルトラマン)に接する姿は今も忘れることができません。
岸田さんが降板したあとの『帰ってきたウルトラマン』は、それまでとはまるで別物のどこか気の抜けたようなシリーズになってしまったようにすら感じます。

対メカゴジラ 常連特撮俳優
東宝の専属制度が無くなって以来、おなじみの俳優さんの姿が見られなくなったゴジラ映画ですが、今作では久し振りにかつての特撮常連俳優が出演して脇を固めてくれています。
平田昭彦さん、小泉博さん、そしてチョイ役ではありますが佐原健二さんも!。

これがゴジラ生誕20周年作品だからなのか、シリーズの原点回帰に向けた動きに沿ったものなのかは分かりませんが、初代『ゴジラ』を天元とする東宝特撮映画を愛する者にとってはこの上なく嬉しいキャスティングであることは確かです。


【昭和49年】

ゴジラ対メカゴジラ』で再び特撮作品の面白さを味わったトガジン少年でしたが、その直後に放映開始した『ウルトラマン・レオ』で再び大人の都合というものを見せつけられてしまいました。
かつて『ウルトラマン・エース』で前年のヒーローであるウルトラマン(新)をやられ役に貶めた円谷プロは、今度はウルトラセブン=モロボシ・ダンを新ヒーローの引き立て役にしたのです。

私は、こういった作り手の思惑といったものに敏感な子どもだったようです。
子供相手に人生論や未来観を本気で語ってくれた『帰ってきたウルトラマン』や『ゴジラ対へドラ』には素直に夢中になりましたが、子供心に「馬鹿にされた」と感じた番組には完全にそっぽを向くようになっていました。

そしてさらに、この年は私の興味の対象が多岐に広がっていった時期でもありました。

昭和49年 中日ドラゴンズ
この年の夏休み、生まれて初めてプロ野球の試合を生で観戦しています。
カードは中日対巨人。
名古屋の親戚へ遊びに行ったときに大のドラゴンズファンだった伯父さんが連れて行ってくれたのです。
しかも席は一塁側ベンチ裏!。
試合は8対1でドラゴンズの圧勝でした。
それまでプロ野球は巨人中心のテレビ中継しか観たことの無い、いわゆる「でもしか巨人ファン」でした。
しかし眼前で繰り広げられる有名選手による試合と応援席の熱狂は、10歳の少年に宗旨替えさせるのに十分な迫力がありました。
このとき、長嶋と王の現役の姿を生で見られたこともまた大きな出来事でありました。

昭和49年 太陽にほえろ!
テレビ番組では親と一緒に刑事ドラマも見るようになっていました。
中でも比較的分かり易い部類であった『太陽にほえろ!』は刑事たちのキャラクターの親しみやすさもあってほぼ毎週見ていたと思います。
そんな中、予備知識無しで見てしまったジーパン刑事(演:松田優作)の殉職は本当にショックでした。
番組は続くのに、それまでそこに居た人が次週からはもういないのです。
まだ親族の死にも直面したことが無かった当時の私にとって、初めて感じた喪失感だったように思います。

昭和49年 マジンガーZ対暗黒大将軍
大好きだったアニメ『マジンガーZ』も衝撃的な形で終わりを迎えました。
強大な新しい敵の前に全く歯が立たず、完膚無きまでにやられて敗北してしまうのです。
劇場版『マジンガーZ対暗黒大将軍』はマジンガーZと兜甲児の絶望的戦いを突き詰めて描いた作品であり、決してグレート・マジンガーを祭り上げるためだけの映画ではありませんでした。
円谷プロも、あれくらい先輩ウルトラマンに敬意を払って『エース』を作ってくれていれば、私もずっとウルトラファンでいられたかも知れなかったのにと思います。

昭和49年 漫画版ゲッターロボ
『マジンガーZ』が終了して以降、TVのロボットアニメは全然見なくなってしまいました。
なぜならば、少年サンデーや冒険王に掲載されていたこの漫画版『ゲッターロボ』が凄まじく面白かったからです。
もう毎週一話完結の勧善懲悪ものには興味を失っていました。

昭和49年 宇宙戦艦ヤマト
そしてこの年の秋、あの『宇宙戦艦ヤマト』が始まります。
冒険王誌上で松本零士による「夕日を浴びて佇む赤錆びた大和」の絵を初めて見た時、そのあまりに新しいビジュアル・イメージに「うわ、これ観たい!」とストレートに反応していました。
その感覚は、半年前にメカゴジラの画を見て感じたものと全く同じものでした。



最後はなんとかメカゴジラに戻ることが出来ました(笑)。
かなりの長文になってしまいましたが、最後までお付き合いいただきありがとうございました。
次は昭和シリーズ最後の作品『メカゴジラの逆襲』です。

Tag:ゴジラ対メカゴジラ キングシーサー メカゴジラ

12
2017

週刊映画鑑賞記(2017.3/6~2017.3/12)

トガジンです。

毎週日曜の夜は、この一週間に観た映画の感想をまとめて書き連ねています。
前週の後半は確定申告の準備に追われて全く映画を楽しむヒマがありませんでしたが、日曜日にはどうにかめどが立ちました。

3/6(月)
ロマンポルノ・リブート・プロジェクト『ホワイト・リリー』🈠
(劇場:テアトルサンク)
中田秀夫 ホワイト・リリー
「ロマンポルノ・リブート・プロジェクト」の一本で、今回は『リング』など和製ホラー監督として知られる中田秀夫監督作品です。
相手の身体を舐め回す女優さんの唇のアップを執拗に見せるなど、これまでに見たリブート・プロジェクト版3本の中では一番「卑猥」を感じる映画になっていました。
内容は全くホラーではないのですが、夜にバタン!と突然ドアが開いて全裸の山口香緖里が逆光で立っているというシーンはまさしくホラー映画の見せ方そのものでドキッとしました。
その辺はやはり中田監督作品ですね(笑)。

主演の飛鳥凛は『仮面ライダー』に出ていたそうですが、非常に眼力のある女優さんです。
演技力も、エキセントリックに叫ぶばかりだった『アンチポルノ』の子とは段違いで、山口香緖里の狂気に全身でくらいついていた印象です。
ストーリーも演出も、女優さんの演技のぶつかり合いも非常に見応えある一本でした。

昔の日活ロマンポルノは、ポルノ専用の女優さんが艶を競っていたものですが、現代のロマンポルノは一般作品の女優さんが大胆に濡れ場を演じてくれるので違った意味で楽しめます。
ただ、以前『ジムノペディに乱れる』の時に述べたように、ポルノ映画を観る背徳感のようなものはやはり感じませんでした。
アダルトビデオが氾濫する今の時代では、あの感覚はもう体感できないものなのかも知れません。


3/7(火)
『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』
(ホームシアター:Blu-ray)
『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』
『宇宙戦艦ヤマト2199』シリーズ完結後に作られた劇場版です。
イスカンダルを離れて地球に向かう帰路でのエピソードを描いています。

謎の惑星に降り立ったヤマトのクルーとガミラスの生き残りが不思議な時空間に閉じ込められて、敵と味方が共同生活を送るというシュールな内容で昔の『ヤマト』シリーズからはイメージしづらい作品でした。
『うる星やつら2ビューティフル・ドリーマー』『攻殻機動隊』『新世紀エヴァンゲリオン』などを連想するような、『ヤマト』としては新しいがどこかで見たような内容といったところです。
しかし、本編シリーズでは描かれなかったガミラス艦隊を友軍と呼んでの共同作戦と、指揮官としての古代進の成長ぶりがきちんと描かれていたのは高評価でした。


3/8(水)
『ゴジラ対メカゴジラ』
(ホームシアター:WOWOW録画)
1974 ゴジラ対メカゴジラ
確定申告のため、書きかけのまま放置状態だった『ゴジラ対メカゴジラ』のレビューを仕上げるべく見返していました。
しかしこの映画、どうにもこうにも気になって仕方がない部分があるのです。

とにかく「ミヤラビの祈り」の歌が長いッ

しかもこの3分間はストーリーの進行が完全停止してしまいます。
歌うベルベラ・リーン、眠るキングシーサーと迫るメカゴジラ、そしてハラハラしながら見守る主人公たちの表情、これらの画がひたすら繰り返されるばかりです。
タイアップ以外何の意味も待たないこのシーンは、はっきり言って作劇上のブレーキでしかありません。

ここで私の職業病が頭をもたげました。
「カットしてまえ!」

対メカゴジラ EDIUS8
まずは早速自宅で使っている編集ソフト(EDIUS8Pro)を立ち上げて『ゴジラ対メカゴジラ』を読み込ませます。
映画開始から1時間04分35秒あたりからの「迫るメカゴジラからキングシーサーが眠る岩屋へパン」するカットの後、「眠っている間にキングシーサーを倒せ」と睦五郎が指示するカットの頭にIN点を打ちます。

対メカゴジラ EDIUS8 TC
続いてベルベラ・リーンが歌い終わってキングシーサーが目覚めるカットの頭にOUT点を打ちます。
私は切り替わってから動き始めるまでのタイミングを自分好みのものにするため15フレームほど食い込ませました。
この間、3分08秒13フレーム。
そしてIN-OUT感をリップル削除!。

コンプライアンス的に問題ありと考えて動画のアップは控えますが、この部分の流れが実にスッキリしたものになりました。
しかも、これらのカット間は音声が繋がっていないため、カット作業がとてもスムーズです。
もしかすると、短縮版やテレビ放映用に向けて歌の部分はカットし易いように最初から作られていたのかも知れません。

特に高機能な編集ソフトは必要ありませんので、自己責任において気軽にお試しください。

素材がブルーレイやDVD、WOWOWなどの録画物の場合は著作権保護を●●する必要があります。


3/9(木)
終日仕事の為、映画鑑賞無し

本当は、この日は休みの予定であり終日京都へ行くつもりでいたのです。
その目的は二つ。

一つは、かねてから購入を検討していたウルトラHDブルーレイプレーヤーの実機を見て触りたかったこと。
福井の家電店にはどこにも実機の展示が無く、フルHDテレビに映した場合の画質やビデオファイルの再生対応具合、そして操作性などの確認が出来ないためです。

二つ目は『宇宙戦艦ヤマト2202第一章』の劇場公開を見に行くこと。
ここ数日、前作に当たる『2199』を通しで観返してすっかり行く気まんまんでいたのですが・・・

この日の明け方、もうかれこれ12年の付き合いになる制作会社のMさんからかなり慌てた様子で「●●さん、今日休みや言うてたやろ?。急で悪いんやけど頼まれてくれへん?」と電話が入ってきました。
何でもこの日頼んでいたカメラマンが交通事故で来れなくなったとかで、1時間以内に現場にスタッフを送り込まなければならないとのこと。
いつもお世話になってる人ですし、ここで遊びを優先して断っては今後の付き合いにも影響しかねません。
本音に打算が打ち勝って、喜んで引き受けることにしました。

事故ったカメラマンもよく知っている人でしたが、身体には別状はないとのことでひと安心でした。
雪でスリップしてきた車に横からぶつけられたとのことで、警察対応と車が壊れて動けないのとで散々だったようです。
ご愁傷様でした。


3/10(金)

この日は前日とは真逆の展開でした。
本来仕事が入っていたのですが、取材先の都合で急遽中止になってしまったのです。
もっと早くそうと分かれば京都へ行けたのに!。

『ほんとにあった!呪いのビデオ71』🈠
(レンタルDVD)
ほんとにあった!呪いのビデオ 71
というわけで、朝からネットレンタルで届いたこのビデオを見てました。
10日のブログにも書いたとおり、「かくれんぼ」というエピソードが秀逸でした。
あれが本物か作り物かはこの際関係なく、まるで藤子不二雄の短編SFのような不思議な気分にさせてくれる一篇でありました。


3/11(土)
『キング・オブ・エジプト』🈠
(ホームシアター:レンタルBlu-ray)
キング・オブ・エジプト
仕事から帰って『ほん呪71』と一緒に届いたこの映画を鑑賞しました。
昨年の劇場公開時に何度も予告編を見せられたものの、結局見ずじまいで終わった作品です。

内容はCG全開の今どきハリウッド大作です。
何も期待することなくボーッと観ていましたが、一つだけ新しいビジュアルがありました。
「地動説」の世界を映像で見せてくれたのはこの作品が初めてじゃないでしょうか。
平べったい円盤状の世界と、そこに毎日太陽を昇らせている神様のお仕事ぶりは滑稽ながらもどこか斬新でした。


3/12(日)
終日仕事の為、映画鑑賞無し


本日もお付き合いいただきありがとうございました。
10
2017

『ほんとにあった!呪いのビデオ 71』

CATEGORY未分類
トガジンです。
今日は予定していた仕事が急遽中止になってしまったため、午前中ネットレンタルで借りたこのビデオを観てました。
私は、この手のものは明るいうちに見ることに決めております。
だって怖いんだもん。

『ほんとにあった!呪いのビデオ 71』🈠
(レンタルDVD)
ほんとにあった!呪いのビデオ 71

視聴者から投稿された心霊ビデオを紹介するビデオの71本目です。
ホラーが苦手な私ではありますが、実はこのシリーズだけは一本目から欠かさず見ています。
単純に「怖いもの見たさ」による興味ですが、私がこの映像に求めるものは「恐怖」ではなく人智を超えた存在に対する「畏怖」なのです。

何かとヤラセや合成映像を疑われるこのシリーズですが、私は基本的に本物と信じて見ることにしています。
確かに今回も霊体の輪郭が妙にハッキリしすぎている映像もありましたが、私にとってはそれが本物であろうが作り物であろうが関係は無く、事象にリアリティがあるかどうかが重要なのです。

当たり外れの激しい『ほん呪』シリーズではありますが、今回の「71」は久しぶりに素直に楽しむことが出来ました。

以下は一部ネタバレになります。
未見の方はご注意願います。


ほんとにあった!呪いのビデオ 71 「かくれんぼ」
一番面白かったのは、6番目の投稿ビデオ「かくれんぼ」でした。
投稿者は、祖母の七回忌に集まった大勢の親戚の子供たちと実家の庭でかくれんぼに興じることになった若い女性です。

ほんとにあった!呪いのビデオ 71 かくれんぼ
「もういいかい」
「まあだだよ」
子供たちの嬌声と親たちの楽し気な話声のなか、お馴染みのかくれんぼのやり取りが始まります。
ところが、彼女が「もういいよ」という子供の声を聞いて振り返った瞬間、不思議なことについさっきまで大勢そこにいたはずの親戚たちが一人残らず消え失せて無人になっていました。
人の声も気配も全くありません。
そして、彼女を誘うかのように時折り童女の姿が見え隠れするのですが、追いかけて近づいてみても誰もいないのです。

投稿者が途方に暮れるうち、突然「あっ、いたいた!」と声がして子供たち全員が彼女の元に駆け寄ってきて元の喧騒に戻ります。
子供たちも姉妹たちも、まだ「もういいよ」とは誰も言っていないのに彼女がフラフラと歩き始めたのだと口を揃えます。

彼女は異次元の世界に迷い込んでしまったとでも言うのだろうか?。

仮にこれが投稿者や『ほん呪』スタッフの作り話だったとしても、そのパラレルワールド的状況設定の面白さと見せ方がとてもよく出来ていてむしろ感心します。
子供相手に、あの1シーン1カットを長回しで一気に撮るのは、プロであっても至難の技だと思います。

中村義洋監督の『ルート225』を思わせるような内容で、不思議で不気味で迷子になった時の心細さを思い起こさせてくれる一篇でした。

ルート225
『ルート225』、お薦めです。
未見の方は是非ご覧になってみて下さい。
(ちなみに中村義洋監督はこの『ほん呪』シリーズのナレーターを務めていらっしゃる方です)


本日もお付き合いいただきありがとうございました。